「ブラッド・ワーク」観た。
ネタバレ注意。
クリント・イーストウッド作品。そのフィルモグラフィ的にはかなり地味な部類か。面白くないわけではないが、締めがイマイチ。敵キャラが弱い。その相手とのラストの対決も。
その敵、イーストウッドと対となるくらいの大物だと自分では言っているのだけどオーラがない。
この敵キャラが全てをお膳立てしているくらいなのに(その設定がそもそもリアリティがないのだけど)、その刑事とシリアルキラーだけの狭い世界、それが失敗している。
心臓移植して、死の淵から蘇るイーストウッド、その心臓は若いメキシコ移民から貰い。その辺りは興味深い。
その移民の関係者が、イーストウッド演じる主役の探偵に事件の捜査を依頼する人物だというのも狭さにつながるが、そこも別に良くて、
移植によって、若返りたい、みたいな作家の欲望が透けて見えて、興味深い。それは有能なスタッフを獲得したい的なことに置き換え可能であり、実際、「グラントリノ」やらの傑作をこの後に撮ることになり、再び上昇気流に乗るわけで。だからその欲望は叶ったと言えて、この作品が失敗だとしても、いずれ勝利するのである。